振動データから迅速かつスマートなメンテナンスの意思決定を導く
スマート・マニュファクチャリングや産業用IoT (モノのインターネット)において予知保全や運用の効率化を実現するには、振動をリアルタイムかつ高い忠実度で監視する必要があります。
先進のMEMS振動センサ・テクノロジーでは、デジタル出力では業界トップの超広帯域10kHz、高ダイナミック・レンジ、超低ノイズの、圧電方式に近い性能が得られます。このテクノロジーにより、センサにはデジタル・エッジ・コンピューティングの機能も加わり、よりシンプルでコスト効率に優れた設計が可能になります。STのIIS3DWB10ISは、ISPU 2.0による高精度検出とハードウェア・アクセラレータを組み合わせることで、エッジで直接リアルタイムのAI処理と高度な解析を実行できます。
こうした機能は、より迅速な意思決定、システムの複雑性の緩和、メンテナンス・コストの削減をもたらします。
AI機能内蔵の高性能センサ
IIS3DWB10ISは、明瞭な振動データを取得し、問題を早期に検出することで意思決定を迅速化します。超広帯域かつ高分解能の検出能力によって装置の挙動を高い信頼度で広範に監視する一方、ISPU 2.0によってエッジつまりセンサ・デバイス上で直接リアルタイムのデータ処理を実行します。
ISPU
IIS3DWB10IS には、STの新しい処理カテゴリである ISPU (Intelligent Sensor Processing Unit) が内蔵されています。ISPUは、ST独自の超低消費電力アーキテクチャSTREDをベースとした組込み型のプログラマブルコアであり、センサからストリーミングされるデータに対して、基本的な信号処理から人工知能(AI)アルゴリズムまで、あらゆる種類のリアルタイム処理を実行できます。
ISPUの主な特徴
- 32ビットRISC Harvardアーキテクチャ を採用しており、単精度浮動小数点演算 (乗算、加算、減算、最大値・最小値演算、積和演算、平方根演算)を高速化する FPU (Floating Point Unit) を備えています。また、ループ処理、リングバッファ (循環バッファ)、FFT演算の特定部分を高速化するための専用ハードウェアアクセラレータも実装されています。
- 32KBのプログラムメモリと56KBのデータメモリを備え、これらへ同時アクセスが可能です。さらに、これらのメモリ領域はアプリケーションの要求に応じて、プログラム用またはデータ用として柔軟に再割り当てできます。
- ソフトウェアは標準的なC言語で記述できるため、開発サイクルを短縮できるほか、高い柔軟性を持ち、他のアーキテクチャ向けに作成したコードの再利用も容易です。
- 40MHzのクロック周波数で動作し、40MIPSおよび40MFLOPSの処理性能を実現します。また、CoreMark評価値として1.95/MHzを達成しています。STMicroelectronicsのWebサイトでは、コードのコンパイルや、デバイスへ書き込み可能な形式へのバイナリ変換を行うためのISPUツールチェーン が提供されています。
主なアプリケーション
高精度で振動を検出することで機械的な異常を早期に検出し、信頼性の高い状態モニタリングと予知保全を実現します。

高速の大きな衝撃イベントを高分解能かつ超広帯域の検出機能によって捉えることで、衝撃を正確に検出し解析できます。

リアルタイムのモーションデータによって高度なロボットシステムを支援し、安定性、応答性、動作の信頼性向上を支援します。

IIS3DWB10ISと他の振動センサの比較
以下は、STMicroelectronicsのIIS3DWB10ISと一般的なMEMS/圧電方式センサの主な違いを整理した比較表です。
| 比較項目 | IIS3DWB10IS | 競合するMEMS/圧電方式センサ |
|---|---|---|
| センシング |
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| エッジ処理 | 組み込みのISPU 2.0により、複雑な振動特徴量の計算またはAIアルゴリズムをリアルタイムで実行したり、適用環境や状況を正確に反映させるためにセンサの設定を適応させたりすることが可能 | 組み込み機能、組み込み処理はいずれも非搭載 |
| 集積度/ 使いやすさ/ コスト効率 |
|
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| ソフトウェア・ ライブラリ |
振動監視の主要機能向けライブラリを提供: 高速フーリエ変換(FFT)、フィルタ、エンベロープ検出、振動速度の重大度、異常検出 |
非該当 (組み込み処理機能未搭載) |
| 消費電流 | ISPUによって実現される本質的に低消費電力のセンサが柔軟で低消費電力の動作をシステム・レベルで実現 | 外部の変換回路が必要なため消費電力が増加するとともに、マイクロコントローラ主導の処理によりシステム・レベルの最適化に限界がある |
| 高信頼度の動作 | 最高125℃までの幅広い動作温度範囲と機械的に過酷な条件下で信頼性の高い動作を保証 | 多くの場合、動作温度の上限は85℃で、温度変動や機械的衝撃の影響を受けやすい |
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