スマートスピーカー市場の熱は冷めるのでしょうか?

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スマートスピーカー市場の熱は冷めるのでしょうか?

スピーカーの写真

様々な利用シーンを紹介するテレビCMを通じて、スマートスピーカーは広く認知される製品になってきました。電通デジタルが今年発表した調査レポート*1によると、日本におけるスマートスピーカーの認知率は約76%にのぼります。一方で普及率は約6%にとどまり、ようやくこれから普及が見込まれるという段階です。しかし、日本の外に目を向けるとスマートスピーカーは猛烈な勢いで普及が進んでおり、中国、インド、アメリカ、ブラジルの5カ国では2018年末までにオンライン人口の3分の1が所有し、既にキャズム*2を超えたと言われています。特に急成長を遂げているのが中国で、最近のデータでは米国を上回る出荷台数で、スマートスピーカー市場のリーダーの座を奪いました。
この中国市場について、Avnet Asia Connectのレポートお届けします。

*1 国内のスマートスピーカー普及率は約6%、提供機能・サービスの拡大が市場成長のカギ | リリース | 電通デジタル
*2 イノベーティブな製品が初期市場からメインストリーム市場へ移行する際に超えなければらない深い溝のこと


今年初めに、TencentがスマートスピーカープロジェクトTingtingを停止したというニュースは、多くの人の背筋をぞっとさせたことでしょう。さらに統計によると、2015年に次の大ブームであったスマートスピーカーに投資した中国企業50社のうち半数は、倒産したか、他の市場へ移行しています。

主要なプレイヤーのためのゲーム

しかし、最新の市場データは、中国のスマートスピーカー業界に関して異なる状況を示しています。AVC(All View Cloud)社の調査によると(引用の詳細を脚注に含める)、2018年、中国では1625万台のスマートスピーカーが購入され、小売販売額は36億5000万元に達し、昨年同期比と比較して、それぞれ823%増および645%増でした。
これらの事実から、成長しているスマートスピーカー市場で儲けているのは、ごくわずかなプレイヤーであると推測して間違いないでしょう。Canalysが発表した2018年第4四半期の中国のスマートスピーカー市場の出荷データによると、AlibabaのTmall Genie、Baidu’s DuSmart Speaker、およびXiaomi’s MI AI Speakerは、マーケットシェアの約90%を占めています。明らかに、2年間の急速な発展で、スマートスピーカー市場は寡占状態になったのです。
世界市場でも同様の様相を呈しています。Strategy Analyticsは、世界のスマートスピーカーの販売数が2019年に1億3500万台に達し、そのうちAmazon AlexaとGoogle Assistantがそれぞれマーケットシェアの31.7%および31.4%、そして両社で62%を占めると予測しています。この競争の激しい市場では、Appleでさえも後塵を拝しているのです。

価格戦争に対する不安

過去1年間のスマートスピーカー市場を1つの言葉で表現するなら、「価格戦争」でしょう。 この戦争の扇動者と考えられるAlibabaは、価格を499元から99元に劇的に引き下げた後、1日(2017年11月11日)で100万台以上のTmall Genie X1スマートスピーカーを売り、すべての記録を塗り替えました。同じ公式が、XiaomiのMi Fan Festival特別価格99元のMI AIミニスピーカーの成功、およびBaiduのお試し価格89元のDuスマートスピーカーの成功でも証明されています。文字どおり、「100元」はスマートスピーカーの中国メーカーにとって死活問題です。この価格競争の激しい市場では、製品価格を100元未満に設定できる企業のみが勝ち残れるチャンスをもちます。企業は、3年間で15億元投資することでのみ、毎年2000万元を記録できると推定されているのです。

価格戦争に見舞われている市場は中国だけではありません。Googleは、長きにわたって世界市場でトップを目指し、マーケットシェアの拡大を目論んで莫大な補助金を支出してきました。多くの研究機関は、今後2年間で力の均衡が変化すると予測しています。

これは典型的な「IoT戦術」の1つですが、歴史を見ると、簡単に八方ふさがりになる可能性があります。より短期間に、ブランドまたは製品を「金額に見合う価値」へ位置付けるために膨大な資金が投資される可能性がありますが、製品や企業の真の価値は、メーカーの金銭的投資で決定付けられるものではありません。

スマートスピーカー市場の主なプレイヤーは、かなり不安だと言う方が適切でしょう。

不安の種1:スマートスピーカーは必要な製品なのか?

AVCが行った中国ユーザーのアンケート調査結果によると、かなりの割合の消費者が真新しさに魅かれてスマートスピーカーを購入したと回答しています。問題は、スマートホーム家電の市場浸透率がまだ低い中、 クラウド音声サービスは、あまりにも多くを望み過ぎだということです。割引により衝動買いされた製品のうち何台が、所有者の自宅の片隅で埃を被っているのか?これは誰もが考えていることでしょう。

不安の種2:スマートスピーカーの需要は、正確にどの程度続くのか?

データによると、スマートスピーカー市場は米国において成長速度が速く、浸透率は既に41%に達しています。市場浸透度が増すにつれて、販売台数の増加率は減るでしょうか?スマートスピーカー製品の現在の機能を見ると、消費者が製品を繰り返し購入したり、アップグレードしたりする動機はほとんど存在していません。

スマートスピーカーの将来

この市場の不安をどのように克服するのでしょうか?この質問に答えるために、基本に立ち返ってスマートスピーカーの基本的な目的を再検証すべきです。基本的にスマートスピーカーは、AIスマート音声サービスを提供するフロントエンドの製品であり、ユーザーインターフェースです。結局のところ、いかにカッコ良くても、いかに安くても、ユーザー・アプリケーションとのシームレスな接続を実現する製品のみが生き残って繁栄するでしょう。

スマートスピーカー市場のプレイヤーは、これを明らかに理解しており、価格戦争に勝って足元を固めた今、シナリオベースの製品を製造しています。つまり、スマートスピーカーサービスをユーザーの日々の生活に組み込むために、子供向けスピーカー、車載スピーカー、テレビ用スピーカーなど、特定のユーザーグループまたは状況に合わせたスマートスピーカー製品を開発しているのです。

このような市場の発展、あるいは製品の傾向は、スマートスピーカー市場への参入を目指す中小企業にとっては朗報かもしれません。音声サービスの普及により、アプケーションのシナリオの分化が進むことでしょう。スマートスピーカーは、いつでもどこでもユーザーの音声サービスの需要に対応するためにさまざまな製品に組み込む必要があり、このように組み込まれたスマート音声機能は、完全な製品ではなく、単に1つのサブモジュールかもしれません。必然的に、大企業の興味をそそるには小さすぎるニッチ市場が現れ、小規模企業が市場での居場所を見つける機会が生まれるでしょう。

スマートスピーカーは製品分類としては近いうちに消滅するかもしれませんが、スマート音声サービスの市場は加熱し始めたばかりであり、終わりは見えません。

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